「これ、iPhoneと比較するの禁止ね」

MOTOROLAのDROIDと言えば、DROID DOESの広告で、iPhoneにはあれができないこれができない、でもDROIDはできると、ネットワークオペレータが宣伝していたため、iPhoneとの比較に終始しがちです。でもまあ、それはUSAでの話。Verizonwirelessのネットワークは日本のdocomoやSoftBankとは互換性のない形式です。ネットワークオペレータとしてはCDMA 1x EV-DO Rev. Aで使える iPhone対抗機が欲しかったんだろうと想像します。
MOTOROLA DROIDは残念ながら日本でそのまま使える可能性はありませんが、幸いDROIDのW-CDMA版とも言えるMOTOROLA Milestoneがヨーロッパ市場などに出荷されています。WCDMA/900/2100, GSM 850/900/1800/1900, HSPA, GPRS Class 12, WiFiです。こちらは日本でも馴染みのあるWCDMA 2100がサポートされています。
DROIDやNEXUS ONEをiPhone3GSと比較するのはもう充分でしょう。どちらも一長一短で、iPhone3GSの方がたくさん売れています。結論は「好きな方を使えば良い」です。これでiPhoneとの比較の話はおしまい。
さて、期待のNEXUS ONEが公式に明らかになり、暖かくなる頃には日本でもAndroid2.1デバイスが買えるようになるのでしょう。
自分にとっては、NEXUS ONEは、ハードウェアQWERTYキーボードがないので、正式発表後、急速に興味を失いつつあります。NEXUS ONEの発表まで買い控えていたMOTOROLA Milestoneを、そういうわけで調達しました。
日曜にオーダーすると、香港から休み明けには届きました。早いなあ。世界が狭くなったような気がします。
HT-03Aを気に入って使っていて、ソフトウェアキーボードではPerlスクリプトやshスクリプトをちょこっと手直ししたり、メールを少しだけ書いたりするにも、面倒です。ぼくはフリック入力よりベル打ち(ニコタッチ入力)の方が早いのですが、HT-03Aではベル打ちにInput methodの速度が追従しません。いずれにせよ、ハードウェアQWERTYキーボードを打っているような気持ち良さが皆無で、やる気が起きません。ぼくはハードウェアQWERTYキーボード派です。(元々は親指シフトキーボードのローマ字打ち派です)
T-Mobile G1もハードウェアQWERTYキーボードがありますけれど、どうもしっくりこない。柔い筐体に控えめな処理速度です。もちろん、Android ver2を試してみたいというのがあり、MOTOROLA Milestoneとなったわけです。
香港から届いた外箱はえらくコンパクトです。いいな。開けてみると、黒い凝縮感のある物体です。背面のMOTOROLAの丸Mマークが、NokiaともAppleともHTCとも違うことを知らせています。
黒に金のアクセントの、F-03Bチタニウムブラウンよりももっとオヤジ臭くカッコイイです。特に電池蓋周りの金属感が良いです。シャッターボタンの金色のややダサさも、また味があります。

電池蓋の下、電池とmicroSDスロットとSIMスロットが並んでいます。内蔵カメラは5MPだそうですけれど、ぼくは酷評されていたHT-03Aのカメラでも意外によく撮れるので気に入って使っていたくらいなので、実際しばらく使ってみないとなんとも言えません。数枚撮った印象では、特に破綻もなく、オートフォーカスも出来て普通に使えるかなという感じです。これはぼちぼち試していこうと思います。

HT-03Aと比べて重デカいように想像していたのですけれど、非常に凝縮感があって、キーボードのスライドも一切のガタがなく重めで上品に動きます。黒に金のアクセントの見た目を裏切りません。スライドを開けた時の印象が非常にコンパクトに感じるのが意外でした。
実際にT-Mobile G1や922SHと並べて見ると、キーボードを出した時の小ささはMOTOROLA Milestoneの方がずっと小さいです。キーボード出しっぱなしで使ってもいいんじゃないかと思うほどです。

特筆したいのは、薄いことです。T-Mobile G1より全然薄いのは、並べてみるまで気づきませんでした。
何と言うか、プラスチックっぽくてスライド機構にあそびがあって子供のおもちゃっぽさのある柔らかな印象のHTC製T-Mobile G1と、寸分のガタもなくオヤジのおもちゃっぽい硬い印象のMOTOROLA Milestoneは、ずいぶん違います。HTCっぽさに飽きたらMOTOROLAはおすすめです。

キーボード自体はどうなの、というところですけれど、キートップが隙間なく敷き詰められています。これはぼくの評価を落としそうに見えます。碁盤の目式なのもいただけませんし、数字キーが独立していないのも大きく減点と言いたいところです。
実際DROIDのレビューで、キーボードは悪くないけど良くないと言われてますが、現物を見た感じ、打ちにくそうに見えます。

実際打ってみると、意外に打てます。そういえばMOTOROLA razerも、見た目はこんなん使えるのかというキーが意外に打てるのに驚きました。
最上段を打つとき、液晶側筐体にぶつかる気がするのがやや打ちにくい印象があります。実際は、指の腹の上端で打つのでぶつかったりはしないのですけれど。キーを打つと、シートが凹んで周りのキーもシートにわずかな動きがあり、となりのキーを誤打鍵しがちなように感じて打ちにくい印象があります。実際は、言われるほど隣のキーを打ってしまったりするわけではありません。クリック感は良いバランスです。これはキーボード自体は良いけれど、キーボードシートが打ちにくく見える印象を出している気がします。
キーボード右に、巨大なカーソルキーというかナビゲーションボタンがあります。これはトラックボールでもなければ、スライド検知ポインティングデバイスでもありません。方向及び決定ボタンです。カチカチ、あー快適。
ポインティングデバイスは操作に神経を使いますが、ボタンは押したか押してないかなので、操作が単純で、頭を使いません。
キーボード右下近くに、メニューキーがあります。Androidなので、これはありがたいです。いや、メニューキーだけでなく戻るキーもキーボードにつけておいて欲しいくらいです。
MOTOROLA Milestoneのキーボードについては、実際打っていると割と普通に打てて文字入力できます。ソフトウェアキーボードより断然使い易いと、ぼく個人は感じます。なにしろソフトウェアキーボードよりハードウェアキーボードの方がいいからNEXUS ONEではなくMilestoneにしているのですから。そいういう意味では期待通りですけれど、MilestoneのQWERTYキーボードはクリック感や確実性など実用性は十分だけど快適さの演出が弱い気がします。たとえば、考え抜かれた形状で突出したキートップ、キーとキーの間隔を離すことや、数字キーに対する配慮など、もっとキーボードおたくに語らせるようなギミックも欲しい気はします。
実用的な話をすると、たとえば、ブラウザでWebサイトの閲覧をしているとき、スペースキーを押すだけでページスクロールします。これだけでもキーボード付きAndroidにして幸せを噛み締める瞬間です。MOTOROLA Milestoneは特にスライドの剛性感が高いので、キーボード出しっぱなしで使っていて快適です。
フリックスクロールでWebページ閲覧など、ワンキーページスクロールの快適さに比べたら面倒なだけだと、ぼくは感じます。カチッとキーを押すだけで確実に1ページ分スクロールするのに慣れると、同じことをするために微妙な操作をしなければいけないのはストレスに感じるものです。
accesskeyに対応しているので、ケータイ勝手サイトなどでaccesskeyが使えるときは、数字キーを押せば、リンクジャンプなどが一発でできます。「6」を押すと次のページのようなときに使えます。残念なことに、MOTOROLA Milestoneの数字キーは独立していないので、Altとの同時押しが必要になっています。
HT-03Aでは、ソフトキーボードに画面を占有されて、メールの宛先タイトル本文をそれぞれ入れるのもうっとしく感じていましたから、ハードウェアキーボードが画面とは独立して付いているのは本当に快適です。

QWERTYキーボードは予想通り快適ですけれど、MOTOROLA Milestoneで快適でない部分があります。画面下端にあるAndroidでおなじみの四つのボタン(戻る、メニュー、ホーム、検索)ですけれど、これはクリック感のあるボタンではなく、タッチパネルなのです。
もちろん、タッチして認識したらブルッと震えてフィードバックがあるため、ちゃんと押せたかどうか分かるようになっています。でも、ぼくはこの手のボタンは使いにくいです。
物理的な構造のボタンなら、どの程度の強さで押せばいいかすぐに指が覚えるので、ボタンに触れていても押さないでおくこともできるし、確実に押せば押さなかったことにされたりはしないのが普通です。タッチパネルの一部がボタンになっていると、そこに指を置いておくことも許されないし、押したかどうかもフィードバックの振動が来るのを確かめるまで分かりません。まれに押したつもりがフィードバックが来ないことがあります。物理ボタンではありえないようなことで、大きなストレスです。きちんと物理的なクリック感のあるボタンにしろと言いたいです。
まったく、全面フルタッチの流行は早く過ぎ去って欲しいものです。

ささいな欠点にやや力を入れて書きすぎました。タッチボタンは、ブルッと震えるフィードバックもあるので、実用性が大きく落ちるわけではありません。HT-03Aを今まで使っていたので、どうしても比較して気になった点になります。
HT-03Aと比べて、逆に良くなったのは、QWERTYキーボードだけでなく、ステレオイヤフォンがそのままさせることもそうです。

昔のWindowsMobileと違って、今時のAndroid端末のMOTOROLA Milestoneは、日本語化がとてつもなく簡単です。
工場出荷状態で、日本語の表示は可能です。フォントはHT-03Aの方が日本人向けでいいと思いますけれど、ひらがなカタカナ等普通に表示可能です。
Milestone標準の設定画面では、Japaneseはありませんけれど、Androidマーケットで例えば「locale」で検索してMoreLocale2を見つけてインストールすれば、地域/言語をJapaneseに設定可能です。
日本語入力も、Androidマーケットに既にソフトがあります。ぼくはT-Mobile G1の頃からおなじみのSimejiと、OpenWnn plusをインストールしてみましたけれど、どちらでもハードウェアQWERTYキーボードから日本語入力できました。
MOTOROLA Milestoneが届いてから、GMAILユーザーとパスワードを入れ、Androidマーケットから二つほどソフトをインストールすれば、日本語化も基本的な環境設定も終わっています。
世界が近くなったような気がします。
最近のコメント